神経外科

椎間板ヘルニアは椎間板物質が脊柱管内に変位し脊髄を圧迫することによって発症する脊髄疾患で犬でも最も多い脊髄疾患であり、犬で診断されるすべての疾患の約2%を占めると報告されています。

好発犬種はダックスフンド、ペキニーズ、フレンチブルドッグ、ビーグルなどの軟骨異栄養性犬種が挙げられます。特にダックスフンドの発症率が最も高く、ほかの犬種と比較して12.6倍とされています。これらの犬種における発祥のピークは3〜5歳齢です。非軟骨異栄養性犬種では加齢とともに椎間板が変性するため中高齢以降での発症が多くみられます。

主な臨床症状

疼痛後肢や四肢の麻痺膀胱麻痺

椎間板ヘルニアの分類

ハンセンⅠ型・軟骨異栄養性犬種に多い。・髄核物質が線維輪の全層を貫通して脊柱管内へ変位するタイプ
ハンセンⅡ型・非軟骨異栄養性犬種に多い。・髄核物質が線維輪を貫通せず髄核と線維輪が局所的に伸展して脊柱管内に突出するタイプ

頚部椎間板ヘルニアの重症度グレード分類

グレードⅠ初発の頚部痛
グレードⅡ再発の頚部痛、自力歩行可能な不全麻痺
グレードⅢ自力不可能な麻痺

胸腰部椎間板ヘルニアの重症度グレード分類

グレードⅠ背部痛、神経学的異常なし
グレードⅡ歩行可能な不全麻痺
グレードⅢ歩行不可能な不全麻痺
グレードⅣ対麻痺、深部痛覚あり
グレードⅤ対麻痺、深部痛覚なし

進行性脊髄軟化症

進行性脊髄軟化症は脊髄が壊死し重度の障害を生じます。重度の胸腰部椎間板ヘルニアに併発して発症しますが、胸腰部椎間板ヘルニアの症例の3〜6%、グレード5の胸腰部椎間板ヘルニアでは10〜15%で併発すると報告されています。

脊髄の壊死が尾の方に進行すると後肢の脊髄反射および肛門反射の低下、消失が認められます。頭の方に進行していくと前肢の不全麻痺が発症し、その後呼吸筋麻痺がおこると腹式呼吸となり死亡します。

進行性脊髄軟化症の進行は非常に早く、最初の臨床症が発症してから数日で進行し、5〜10日以内に呼吸筋の麻痺に至り死亡します。

様々な治療方法が試みられていますが、現在有効な治療法は存在しません。いったん発症するとほとんどの症例で致死的な経過をたどります。

胸腰部椎間板ヘルニア診断・手術の流れ

『後ろ足のふらつき、後ろ足が立てない』の症状がありましたらすぐにご連絡、ご来院ください。

1.問診・検査

2.手術(Hemilaminectomy)

3.退院

入院は約 7日〜14 日程度です。

4.自宅でのリハビリ開始

※椎間板ヘルニアの術後の回復は術前の脊髄の損傷の程度により個体差があります。

胸腰部椎間板ヘルニア診断・手術の症例

※本症例は発症から検査・治療開始まで経過が非常に長かったが術後の経過が非常に良好であった症例です。
※術前の症状によって、回復期間や回復の程度には個体差があり、脊髄の損傷の程度に依存するといわれています。

頚部椎間板ヘルニア診断・手術の流れ

『四肢のふらつき、前肢のふらつき、食事をするとき首を曲げるのを嫌がる、飼い主様を上目づかいで見上げるなど』の症状がありましたらすぐにご連絡、ご来院ください。

1.問診・検査

問診 → 神経学的検査 → レントゲン検査 → 血液検査 → MRI検査or脊髄造影検査

頸部・胸部レントゲン検査
血液検査
MRI検査

2.手術(Ventral slot decompression)

腹側よりアプローチし頸椎の一部にスロット(穴)をあけて脊髄を圧迫している椎間板物質を除去します。

3.退院

入院は約 7日〜14 日程度です。

術前・術後の違い

頸部の脊髄への圧迫が解消される事によって痛みや麻痺の症状が改善されます。

術前
術後

<症例>

本症例は手術前は頸部の痛みがひどく飼い主様の顔を見上げることが出来ませんでした。また、活動性の低下と抱いた時や何かの拍子に頸部に負荷がかかると突然「キャャン」と鳴くことがありました。
手術後は頸部の痛みが解消され飼い主様を見上げることや頭を振ったりすることが出来るようになり、突然鳴くことがなくなりました。

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